益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

戦争の大義のぐらつき

パレスチナ問題には欧州と米国に大きな責任がある。
アフガン問題には欧州と旧ソ連そして米国に大きな責任がある。
二つの問題は別個のようでいて深くリンクしている。
我々がリンクしていないと見なしても
テロリストはそうは思っていない。
今度の「戦争」を解り難くしている、
大きな理由はその一点にある。

パレスチナそしてアフガンに住む人々には
安全で人間的文化的な生活を送る権利がある。
「国際社会」は先ずそれを保障せねばならない。
しかし、「国際社会」とは何なのか?
先進国のことか?
キリスト教圏のことか?
それとも国連のことなのか?
そもそも、この「国際社会」という概念が
まだまだ未熟なのである。

テロ及びテロリストは断じて許してはならない。
だからこそ我々は米国の戦いを強く支持している。
戦争の長期化は避けられないだろう。
しかし、そうであればこそパレスチナ問題への
確固たる展望もまた怠ってはならないはずである。

タリバンがアフガンの人々の
安全で人間的文化的な生活を疎外する存在であるからこそ
我々はその打倒を望んでいる。
その打倒がいずれはテロリスト掃討に繋がると信ずるからである。
米国、ロシアそして欧州は早く明確な「タリバン後」のビジョンを
世界に示すべきである。
後方支援を支持した我々だが
このところの不明瞭さに
「戦争の大義のぐらつき」を感じざるを得ないからだ。

 蟷螂の反りかへり見る冬近き  山口青邨