今朝、ミーが死んだ
今朝、ミーが死んだ。
急死だった。
二、三日前から食欲が落ちているのは
察知していたが
毎年のことなので軽視していた。
今朝、私の目覚めを待っていたのであろう。
私の顔を見るなり、甲高い声で鳴きわめくのだった。
頭を撫でてやると大人しく眠りにつき
そのまま逝ってしまった。
左後肢が不自由な身障猫だった。
まことに不憫な猫だった。
ほんとうに手のかかる猫だった。
高い所へは跳べないのに跳ぼうとして
いろいろな物を落としたり壊したりした猫だった。
健常な年少のチコになめられている猫だった。
どんなにそれが屈辱であったろうか、と思うと
可哀想で可哀想で可哀想で可哀想でならない。
我が家に来て五年、
つまり五歳の短い命だった。
遺骸はねんごろに白布にくるんで
ナルの墓の傍に埋葬した。
「愛しの猫たち」はチコ一匹になってしまった。
亡骸の軽さや仔猫にはあらね 田畑益弘