益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

快適な環境

明日あたりから本格的に寒くなるそうである。
真冬並みの寒気が到来するそうで
九州地方や四国地方でも雪が降るそうだ。
しかし、昔と比べたら・・・。

昔、といっても私の幼い頃のことであるが、
霜、霜柱、バケツの水の結氷、等など
今では滅多に見られないことが、
当時は冬季の日常茶飯事であった。
そう言えば、ここ数年雪も降らなくなった。
この時季、しぐれが雪になり風花になることは
よくあることであったのだが。

何が原因なのだろう?
都市化、ヒートアイランド現象、地球温暖化・・・。
いずれにしても
我々人間が季節を、季感を
壊していることに変わりはないのである。
しかし、我々は相変わらず「寒い寒い」と口々に
矮小化された「冬」を嘆いてみたりする。

我々は、
季節のない「人間にとってのみ快適な環境」を
無意識裡に創ろうとしているのかも知れない。
その先にあるのは果たして
人類の理想郷なのだろうか、それとも自滅なのだろうか。

 鮮魚とふ屍(かばね)の並ぶ寒さかな  田畑益弘