2002-03-05 春雨 春雨。夕刻よりしたたかに降っている。暖かい雨の春夜である。 不性さやかき起されし春の雨 芭蕉という句がある。あまり感心しない句だが、春雨の気分をよく伝えている。 春雨や酒を断ちたるきのふけふ 正岡子規 春雨の衣桁に重し恋衣 高浜虚子芭蕉の句を軽く超えた二句である。しかし、芭蕉の感受した春雨の「気分」を下敷きにしていることが、よくわかるだろう。芭蕉の偉大さはこの辺にあるのである。では、私の一番好きな春雨の句を次に。この句は去年も引用した記憶がある。それだけ好きな句なのである。 はるさめかなみだかあてなにじみをり 瀬戸内寂聴